全く興味の無い人も多いと思いますが、気になる人には、気になるのが、装備です。
Denaliでは、並外れた厳しい寒さ対策が必要です。
いざと言う時のために、いろいろと備えておきたいところですが、同時に、全ての荷物を持った移動の登山なので、沢山の装備を抱えるわけにはいきません。そこで賢い選択が必要になってきます。
ここでは、Denaliに特徴的な装備について、少し説明します。
VBL socks 足の寒さ対策としては、VBL(Vapor barrier liner)ソックスにしました。選んだのはNorthfaceのネオプレイン製靴下です。大変しっかりしていて、靴下というより、足袋や薄手のオーバーブーツのようです。
VBLの仕掛けは、人体を複数の防寒層で覆う時に、その一部に蒸気を通さない層を作ることで、効果的に防寒を実現することができるというものです。興味がある人はネット等で調べてみてください。
ここで問題となるのが、VBLの内部に履くライナーです。VBLソックスは当然蒸れますし、足が汗でびしょびしょだと、豆ができやすくなります。この汗に対応するライナーが必要です。しかし、薄手のライナーでは豆のリスクが高く、厚手の吸湿がいいものでは、ネオプレインとの二枚履きでは厚すぎます。
ということで、今まで躊躇していたのですが、これを解決してくれたのが、finetrackのスキンメッシュソックスです。吸湿ではなくて、内から外へ撥水をすることで、薄い生地ながら、皮膚へ水分が戻ることを防いでくれます。出発前に、ボッカのトレーニングをしていたのですが、そのときに実験して上々の出来だったので、この組み合わせを採用しました。
これに、化学ふきんを組み合わせて、テントに戻り登山靴を脱ぐと同時に、ネオプレインの内側をふきんでサッと拭いて、ライナーを干せば、いつでも靴も足もドライです。
私の靴はダブルブーツにしました。また、Denaliを登っている人の多くは、ダブルブーツを履いていました。特にスポルティバのオリンポスとミレーのエベレストが多かったです。
一部、プラブーツの人もいました。high camp以上で寒いときには、これにネオプレイン製のオーバーブーツを重ね履きして、防寒対策をします。
この雪山用のオーバーブーツというものは、日本ではどこにもOverboots
売っていないので、実に手に入れにくいものの一つです。そこで今回、実物を見て、サイズを確認して、是非手に入れようと思っていました。
買ったのは、Below40というシアトルのメーカーのoverbootsです。
ゲーター付きのダブルブーツを持っているので、このオーバーブーツの用途は、テントブーツやインナーブーツの上にかぶせて、雪のキャンプサイトの移動用です。
雪がなければクロックスのサンダルですが、寒い雪のキャンプで過ごすには、丈があって、防水で、暖かさと軽さが必要なのです。
今回、何人かのガイドが、キャンプサイトブーツとして使っているのを見かけました。履いてみると暖かく、はきやすく脱ぎやすく、実に快適です。
実は、足の防寒に関しては、秘密兵器として、インソールヒーターも持って行ったのですが、荷物チェックで、VBLとオリンポスという高所靴の組み合わせを見たガイドから、インソールヒーターは要らないよとアドバイスされました。実際、登ってみると、ネオプレーンの靴下は強力で十分暖かかったです。
liner glove 手袋も、VBLにしました。こちらは足よりは着ながらの換気調整が効くので、普通っぽく薄い化繊のライナーを2組、持っていきました。
その外側に医者が手術で使うニトリル手袋でVBL層を作り、その更に外側のアウター層が、気温によって着せ替えできる構造です。
アウターは薄いウインドストッパーの手袋、厚いスキーGloves
手袋、ミトンの三種類を用意しました。
ニトリルは100組750円の安物なので使い捨てです。
この組み合わせの効果は高かったのですが、化繊のライナーがすぐびしょびしょになりました。こちらは足と違って豆にはならないので、蒸れていてもがまんできます。
寝具は、-20°F(-29℃)対応の寝袋です。気温が-40°F(-40℃)くらいになることもあるのですが、寒いときにはダウンパーカを掛け布団の様に羽織って寝ました。-20と-40で寝袋の重さの違いが大きいので、-20°F を選びました。さすがに、0°F(-18℃)対応の寝袋だと、ちょっと寒いと思います。
眠るときにはアイマスクをお勧めします。白夜で明るいというのもあるのですが、寝袋から顔を出して呼吸をする時に、目の周りの防寒に役立ってくれます。Nose Guard 小物では、Nose Gurdも買いました。サングラスからぶら下げて鼻を隠す簡単なツールですが、これが日本では見つからない。簡単すぎて通販でも手に入らない。これも、AMSのショップで手に入れました。
もう一つ日本ではなかなか手に入らないものは、そり用のダッフルバッグです。私は今回、遠征では定番のノースフェイスBCダッフルXLを使いました。155Lの奴です。サイズはいいのですが、このバッグは、生地が丈夫すぎて重い(2.3kg)ことと、比較的背が高く、そりがひっくり返りやすいという弱点があります。ヒマラヤ向きですが、アラスカ向きではないということです。出発前に、店も通販もいろいろ探しましたが、とうとう、ちょうどいいのが見つかりませんでした。どちらかというと、アメリカのローカルメーカーの安物のダッフルにちょうどいいのがあるようです。
こんなところでしょうか。ご質問があれば、遠慮なく。