Diary of 5/31-
Base camp

kahiltna gracier Kahiltna氷河

5/31/2014 @アンカレッジ




 13:30 アラスカ・アンカレッジの空港からTalkeetnaという町まで、約2時間半を車で移動する。今日は、この町の名物宿であるTalkeetna Roadhouse に予約をしてあった。

 Talkeetnaは、町とはいっても、とても小さく、宿、レストラン、talkeetna road houseTalkeetna roadhouse
地ビールのパブが目立つ、観光の町だ。デナリへのエアタクシーはここから飛んでいるため、登山者も多い。 今日の宿であるRoadhouseは、アメリカの田舎のログハウスらしい木造の部屋と、共用のシャワーがあり、一階はレストラン兼パブとなっている。一階には宿泊者以外も多く、特にここの朝飯は有名らしい。




 17:00 空港からTalkeetnaへは、二人のメンバーとシャトルに同乗した。その内の一人であるRonは同じRoadhouseに宿泊をする。部屋で荷物を整理した後、ホテルの食堂で、Ronと一緒にビールを飲み始めた。登山談義だ。Ronはヨーロッパ人だけあって、アルプスに詳しい。

room of talkeetna roadhouse
19:00 夕食後、町をぶらぶら散歩した。直ぐ近くに、コンビニと言ってもいいほど、幅広い品揃えの食料品兼雑貨屋がある。狭いくせに、やたら充実をしている。ここで絵葉書、バンドエイドとドクターソールの足パッドを買った。この足パッドが後でめちゃめちゃ活躍をする。
 この時期のアラスカは白夜であり、夜も明るいが、この雑貨屋は夜11時まで開いており、大変便利だ。



AMSAlaska Mountaineering School

6/1/2014 @Talkeetna



 昨日は早くに寝て4時に目が覚めたので、再度、6時半まで二度寝をした。今日は、宿から歩いて5分ほどの所にあるAlaska Mountaineering School(AMS)に行き、トレーニングと準備を行う。

 9:00 トレーニングは、チームで列を作って歩く練習から始めて、Running Belayの架け替えの練習、Fixed Ropeの練習、クレバスに落ちたときの為の自己脱出の練習、そして3to1のシステムで引き上げる練習をした。

 Denaliに登ってみて振り返ると、この山で必要とされるスキルの内、特徴的なのは、プルージックを多く使うシステムということと、ランニングビレイを素早く架け替える必要があることだろうか。それに加えて、そりを使った移動システムは、登山ではあまり使うことがないユニークなものだ。

 AMSは、広い敷地に多くのレンタル機材を抱えて、殆ど、登山道具を何も持ってこなくても準備ができる体制を整えていた。また歩いて5分程度のところに、AMS直轄のショップを持っていて、ここで購入できる品揃えも素晴らしい。

 午後、この季節、Talkeetnaでは、綿の花が飛ぶようだ。少し強い風が吹くと、多くの白い綿が風に舞って、まるで吹雪のようだった。

at base campAir Taxi

6/2/2014 @Talkeetna



 この日はエアタクシーでBase camp入りをする。そして、その前に幾つかのタスクを完了しなければならない、比較的、忙しい日となる。

 8:00 小雨の降る中、朝、8人の隊員が全員集まり、顔合わせをしてから、荷物のチェックに入った。

 今回の装備の中で、私が特に強化したのは凍傷対策である。靴下はネオプレーン製のVBLで、手袋も医者が手術で使うニトリル手袋でVBLを作った。大変有効だったと思う。
 これについては、装備のページにもう少し詳しく載せた。。


 荷物でもう一つ大事な作業が、ランチパックを作ることである。AMSでは、朝食と夕食は事前に決めたメニューに沿ってガイドが準備をし、皆で素材を分担して運ぶ。昼食はAMSの倉庫に山と積まれたチョコバーやナッツやチーズから、各自が食べたいものを3週間分選んで袋に詰め持っていく。目安は3週間で7-8kgだそうだ。

 このランチを足すだけで、30kgの個人荷物が40kgになってしまう。さらに朝夕食の食料袋、ホワイトガソリンの燃料、調理用具、スコップ、各自のテントと、共用荷物を加えると50kgは直ぐに超える。

candy bars私は試食をしながら、このランチパックの中身を選んだ。スニッカーズ、ケロッグのライスクリスピーズ、スモークアーモンド、グミのTreetopを選び、これに日本から持っていった豆源のバタピー、虎屋の夜の梅、明治のアーモンドチョコを組み合わせて乗り切ることにした。

 この遠征では、他のメンバーより、朝飯や夜飯のおかわりをして、しっかり食べることができた。結果として、昼飯は軽くすましていたので、準備したランチパックの量は少なめだったが、十分持たせることができた。

 12:00 この日の昼食はAMSでピザとサラダがでた。van to airport
特にサラダは、キャンプでは食べられないので、この日が食べ納めである。
 この頃には、朝からの雨も止み、良い天気となった。エアタクシーが出発できるかも天気次第であるが、今日は出発できそうだ。

 14:00 AMSから歩いて5分位のところにあるNational Park Serviceを訪れ、入園料の10ドルを払い、国立公園のルール等について簡単な講習を受けた。


 17:00 エアタクシーの飛行場は町外れにあり、歩いても5分位のところだ。荷物とともに大きなバンで移動し、殆ど手続きもなく、荷物を乗せたら直ぐに出発となった。
 30分位のフライトでBasecampにつく。我々の飛行機はTalkeetna Air Taxiという飛行機で、パイロットも含めて8人乗りだった。隊は8人なので、2機に分かれて移動だ。アラスカの緑の平原が続き、その先に白い氷河と荒々しい山肌が近づいてくる。ヒマラヤよりも、広々としたフラットな感じがする地形だ。

base camp
 氷河の雪上に着陸後、飛行機から荷物を下ろし、プラスチックのそりを引きずって、近くのテント場まで移動だ。そしてテントを設営した。今回の登山では、マウンテンハードウェアの4人用テントを3人で使う。快適な広さだ。
 今晩必要な幾分の荷物をテント内に入れ、残りの荷物はダッフルバックの中に残した。ダッフルにはそりをひっくり返して蓋のように被せて、雪よけにし、そのままテントに近くに置く。

 20:30に夕食 豆のスープとチキンのソテー。味は、結構、普通だ。アメリカだし、もっと酷いかと思っていた。22時に寝た。白夜なのでアイマスクをして寝る。このアイマスクは高所のキャンプで冷える時には、顔の防寒具にもなるので必需品だ。


road to camp 1

6/3/2014 @Kahiltna Base camp (標高2,200m)



3:30 起床。5時間半の睡眠。寝起きのSPO2は93%/62bpm。まだ低地だ、こんなものだろう。 起きて直ぐにトイレに行く。


デナリ国立公園のトイレは、CMC(clean moutain can) というCMCCMC
小さなバケツを使う。このバケツの中に分解性の大きなビニールを被せて、バケツの上に座り大便をする。この時に小便はピーボトルを同時に使用する。そして小便は近くにあるピーホールに捨てる。大便はビニールにためた後、口を縛って、大便捨て用に決まっている特定のクレバスの穴に捨てる。
 何万年か後に氷河の末端から、我々の大便が化石として発見されるかもしれない。

 5:00 トイレの後、二度寝をして、再度、起床。朝は、まずお湯が配られるので、ティーバックで紅茶にする。それからシナモンロールをフライパンで温め、ソーセージのパテを焼いたものを挟んだホットサンドだ。悪くないが、少し量が少ない。
 アメリカ人は追加で、ジャムのついたクッキーを食べているが、朝からそんなに甘いものを食べる気はしない。しかもランチでは、またキャンディーバーを食べるではないか。

 テントを畳む。夜中じゅうの呼吸が霜となり、テントの内側の一面に凍りついている。 雪に埋めたテントの張り綱は、夜中に凍りつき、普通のシャベルでは掘り返せないくらい固く締まった地面となる。そのために、スペードと呼ばれている特別に尖ったシャベルが必要になる。

 毎朝、テントを畳み、食料や燃料、共通備品を分担し、そりに載せて運ぶ。登山の期間の前半、登山者の殆どの努力は、この運搬作業にあてられる。
 Denaliは登山をする山ではなく、キャンピングをする山なのだという有名な名言(迷言?)もあるのだ。




morning of base camp@ Base camp
8:30 谷に日が射す。この谷は、ハンター山のふもとにあり、ハンターの頂上まで手が届きそうな程、はっきりよく見える。
 出発に向けて、そりをセットし、ロープで結ぶ。サブガイドのダスティンは張り切って、そりのシステムの講義をした。我々はこの講義を聞いてから、移動に向けた準備をしたが、皆、少し手探りな感じで、ゆっくりと作業をしていた。もともと、早いうちに移動したいので5時に起きたが、既に日がさしても、まだ出発まで先は長そうだ。



 10:00 突然、ガイドのニックが皆を集めて、シリアスな顔で宣言をした。sled training
今日は次のCamp場であるBelow Ski Hillまで移動する予定であったが、進捗が悪いので移動をキャンセルし、そりのセットアップのトレーニングに専念する。
 これはメンバーのゆるんだ雰囲気を締めるためだろうか。
 それからは、そりへの積み込みとロープのセットがスピーディーに出来るよう、予行演習を何回か行う。とたんにチームの雰囲気が締まった感じになった。



 15:00 早い時間だがディナーになった。米のヌードルに調味料をかけたフォーのようなものと、Tasty Biteというアメリカでは定番のインスタントカレーだ。米が柔らかすぎていまいちだった。その後はテントでくつろいだ。

dining テントは三人で共用である。私は、オランダ人のRon、ブラジル人のJoeが同室だ。もう一つのテントでは、アメリカ人のKenとノルウェイ人のJohnとErikの三人である。ガイドのNickとDustinはまた別のテントだ。
 我々のテントは比較的おとなしいメンバーだったが、別のテントでは、アメリカ人とノルウェイ人のおしゃべりが止まらないようだ。


 今のところ体の調子は悪くはないが、幾つかの不安要素もある。まず、右足の骨折の痕に残るボルトの頭が、高所靴にあたってすれている。くるぶしの上に小さなくるぶしがあるようなものだが、高所靴のしわが、そのでっぱりにあたるのだ。すれている所にソルボバンのパッチをあてて、しばらく様子をみることにした。
 もう一つの問題は、トイレが下痢気味になってきたことだ。これは高所のせいというより、アラスカの町で飲んだ水のせいだろう。しかし移動中の腹痛は面倒だ。正露丸を飲んでおく。
 22:00 ひと眠りして、トイレに起きた。まだ、下痢気味だ。テントに戻り、また直ぐに寝付く。