Diary of 5/31-
Jungle March

view from vinsonview from summit

1/12/2015 @Low Camp




11:30 起床。寝袋から出ると、まだ厳しい寒さだ。日は照っているようだが、谷間は一面のガスで覆われている。
 ベーコンチップとパンケーキの朝食。食事が終わるころには、ガスが薄れて幾分暖かくなってきた。

 今日は急坂を登るので、そりは使えない。全ての荷物をバックパックに詰めなおした。

near fixed rope14:30 low campを出発する。バックパックが肩にずっしりくるが、しばらくすると足取りが軽快になってきた。
 
 30分ほどなだらかな坂を歩き、1,000mのFixed Ropeがある急坂のふもとまで来る。前のチームが遅めだったので、ここで抜かさせてもらい、Fixed Ropeに取り付いた。


 ここは25度くらいの坂から始まり、ところどころ35度~45度の傾斜の場所がfixed rope
出てくる。雪は硬めに締まっているがブルーアイスは無い。ユマールを使うので、特に危ないところはない。

 しばらく歩くと、途中で休んでいるパーティーにあった。抜かさせてもらう。しばらく先まで、歩いているチームはないようだ。

 
 一時間強を軽快なペースで登るとTea partyというテラスに着いた。Fixed Ropeの色は緑だが、オレンジのロープが分岐して、テラスへのルートを示している。ここで横にそれて休みをとることにした。
 
 Jeffの息があがっている。ランニングビレーを架け替えるのも、手間取っている。テラスでは、べったり座り込んだ。水も飲まず、はぁはぁ言っている。少しペースが速かったようだ。



 休みの後もJeffのペースが上がらない。段々、後ろで遅れてきて、メンバーの間が空く。時々、彼を待ったが、追いついてこない。体が冷えるのもよくないので、彼は最後尾のアンディーにまかせて、私は池田さんとマイペースで登ることにした。

 次のテラスまで、再度、一時間の登りだ。テラスの少し手前で、前のパーティーに追いついた。そこからは、抜かさずに、ゆっくり着いていく。彼らはテラスで荷物を降ろした。我々もそこでJeff達を待つことにした。
 
 
skyline Jeffもやがて追いついたので、しばらく休んでから出発する。ここからは、傾斜がきつくなる。天へ一直線に伸びるスカイラインが美しい。

 30分弱の登りで急坂は終わり、Fixed Ropeの端まで来た。ここからは普通の登りだ。陽射しが強くなった。メンバーでザイルを繋ぎ、暑い中をだらだらと登っていく。



 少したってまた、Jeffはふらふらしてきた。ロープに引っ張られるように歩いている。池田さんに負荷がかかっていた。
 
 
18:30 high campに着いた。標高は3,800m。富士山の山頂くらいか。tent building
極地なので、空気はもっと薄いはずだ。

 直ぐにテントをたてる。気温は-27度でかなり低いが、日が射しているのでいくぶん暖かく感じる。
 夕食はカレーライスだった。ミートボールが入って、辛目の味付けがよかった。

0:30  寝袋に入る。パルスオキシメーターは、82%/68bpm。脈が落ち着いているので、いいだろう。

1/13/2015 @High Camp


view from HC10:00 起床。テントが光でいっぱいになっている。温度もあがってきた。

今日はリラックスデイ。散歩をして、昼寝をして、お茶をするだけだ。


 キャンプからは、Mt.Shinnが美しく見える。ShinnMt. Shinn
幾つかの登頂ルートがあるようだ。

17:00 Mtgをする。明日の登頂に向けて、コースを確認した。
ディナーは、フェットチーネのミートソースだった。



20:00 昨日Low campで休息日にしていた登山者達がhigh campへ上がってきた。ロシア人が多い。一気にcampが賑やかになる。

21:30 寝袋に入る。ロシア人達はまだ騒いでいる。昼間もよく寝たので、寝付かれない。12時過ぎに寝た。

1/14/2015 @High Camp



strong wind8:00 起床。風が強い。ガスも出て視界がよくない。直ぐに出発はせず、様子を見ることにした。

12:00 キッチンテントに集まり、パンケーキで朝食。まだガスは晴れない。今日は出発しないで、待機することにした。
 ここまでのスケジュールでは、予定を一日アヘッドしている。予備日も数日残っているので、2-3日の待機は問題ない。いい天気まで待って、景色のいい山頂に立ちたい。


 ロシア人が、寝袋をガムテープで補修していた。アイゼンで、寝袋とパッドを踏み抜いたらしい。いったい、どこを歩いているんだろう。

21:00 寝袋に入る。少し kindleをして寝た。diamond dustDiamond Dust

1:00 小便。風もないので、ピーボトルを使わず、外に出た。

ガスは消え、雲も無く美しい空だった。ダイアモンドダストが舞っている。最高の天気になりそうだ。待った甲斐があった。

1/15/2015 @High Camp



7:30 テントの外がざわざわしている。サミットデイの朝はいつも、キャンプが少し興奮しているのが、寝袋の中からわかる。風が無く、雲がなく、最高の天気だ。

 朝飯はオートミールだった。食欲をそそらない。アメリカ人が準備した献立は、ここら辺がだめだと思う。


プラトー9:10 キャンプを出発した。今日は3,750mから、1,000mの標高差を登り、そして下る。

 high campからは、山頂に向かって一直線に谷間の道が伸びている。右と左の両方に稜線がのびて、その間が広い谷間になっている。プラトーと呼ばれる、陽射しが特に強く照りつける地形だ。




10:10 標高が4,000m近くになり、上りがなだらかになる手前で休みをとった。

 Jeffはiphoneで写真をとっていたが、池田さんに渡したときに、slider氷の坂手を滑り落ちてしまった。そのiphoneはカバーもなく裸のままだったので、そのまま氷の坂を猛スピードで滑って消えてしまった。あっという間のできごとだった。

 アンディは、I know it happens! と言った。私も、ひももカバーもなしじゃ、無くなってもしょうがないなと思った。



 しかしJeffは半泣きだ。途方にくれていた。彼はこのvinsonの登山の前に南極点へ行っており、その時の写真も入っていたのだ。サウスポール、サウスポールとつぶやいていた。

 おいおい、そんなにショックを受けるのなら、もうちょっと対策を打っておけよ。

 iphoneが坂の途中で止まっている可能性は低いと思ったが、少し下って探すことにした。
 jeffに探させると体力の面とスキルの面で心配なので、そこで待つように言って、一度、ロープを解いてから、私とアンディーだけで結びなおした。

10分程、二人で探したが見つからなかった。結局、Jeffをあきらめさせ、登山を再開した。



blue ice11:10 なだらかな道が続いていたが、再度、上りが急になってきた。ブルーアイスも混じっている。標高は4,100m。Vinsonの山頂を右斜め前に見ながら進む。

13:10 標高は4,600m。 エマージェンシーキャッシュと呼ばれる地点まできた。緊急時の食料やビバークの道具が置いていある。


 少し登ると、勾配が幾分なだらかになり、広場のような所にでた。右側にVinsonの山頂とその下にのびる壁が見える。この壁をぐるっと時計回りに迂回して、プラトーの反対側まで行ってから、急坂を登るコースだ。
 ここから、風をおもいっきり受ける地形となる。しっかり着込んでから出発した。

 迂回が終わり、今度は、急坂を蛇行しながら登る。steep slope直登すると40度くらいの斜度だが、雪も硬めなので、しっかりアイゼンを効かせないと滑る。Jeffがアンディーに引っ張れらながら登っていた。苦笑した。




14:30 頂上のリッジへの取り付き点まできた。多少高度感はあるが、それほど厳しい道ではない。天気がいいので、遠くまで見えて爽快だ。





15:10 山頂に着いた。風は収まっていて、天気は穏やかだ。
 20分ほど滞在した。

 どこまでも平らに広がっている感じが、気持ちいい。

 


 頂上からの下りも、快調に降りることができた。


 4,000mの地点まで来て、再度、Jeffのiphoneを探しながら降りることにした。
 氷の滑り台は、どこまでも続いていて、途中でひっかかって止まりそうなところは、クレバスの割れ目くらいだ。campに着くまで探しながら降りたが、結局見つからなかった。あのiphoneは10万年後に発見されるのだろうか。
 Jeffには我々の写真を送ってあげるからと慰めた。


return to high camp18:30 camp着。出発してから、9時間強の行程だった。

 直ぐに夕食が出た。パッタイスープというものだった。ハイブリッドな名前だが、ようはタイ風ヌードルだ。アメリカ人のネーミングセンスは、いまいちだ。



21:00 皆、疲れたのか、早々にキッチンテントから撤収する。
21:30 就寝 外からいびきが聞こえてくる。皆、疲れているんだろう。


1/16/2015 @High Camp



8:00 起床。日が照っているが、外は刺すような冷たさだった。
 朝食はまたグラノーラ。粉ミルクとお湯をかける。

down slope11:00 テントを畳んで出発。今日は、Low campを経由して、Base campまで降りる。

 Fixed Ropeはアームラッピングで下りた。天気も良く、薄着になり、日に焼けそうだ。
 途中でメキシコ人のメンバーが、足が痛くなり、立ち止まっていた。我々も止まり、後ろのパーティもつかえた。メキシコ人は、少し下っては立ち止まる。我々は時間に余裕があったので、ゆっくり歩くのにつきあった。




 Low campに着くと、荷物の一部をそりに乗せ換え、tyreeMt. Tyree
 直ぐに出発する。
 
 ますます陽射しが強くなってきた。
 後ろには、南極二番目の高峰、Mt Tyreeが美しい。
 強く印象に残る山だ。

 穏やかな日だ。そして、Base campに戻る直前の道程は、いつも気持ちが晴れ晴れとする。

ANI teams16:30 base campに着く。

 まずキッチンテントに入り、シャンパンで乾杯をした。明日の朝、union gracierまでセスナで戻るが、それまでは好きに飲んで、好きに寝ればいい。

 他のチームも続々戻ってきた。シャンパンが終わり、ワインが開けられた。ここぞとばかりに酒が出てくる。長い白夜となった。