装備


装備品

私の装備

行かない人にはあまり興味がないが、行く人には大変興味深いのが装備品である。
正直、高所登山の装備の情報は本で手に入れるのは難しく、インターネットで探しても、装備の一覧表のようなものはあるが、中身の説明のようなものは見つからない。経験や口コミ、他のメンバーから教えてもらったりして、段々と納得のいく装備に変えていくのが一般的だろうか。


特に日本では、高所靴やダウンスーツ等の高所用品を店頭で見かけることは少ない。したがって、探す苦労がある。しかも海外よりも高いのだ。


また、遠征は長期の滞在になり、いろいろなシナリオを考えると心配して持っていくものが増えていく。


どこかで、割り切りが必要だ。
今回、カトマンズのホテルで倉岡ガイドと相談して、カトマンズにバイルを置いていった。マナスルではユマールとピッケルで両手がふさがることはあっても、ダブルアックスを使うことはないということだったから。
実際は、結構、心配だった。ダブルアックスはいらないだろうという雪山で、やっぱり持ってきてよかったという経験を何度かしていたから。だが、置いていったことは正しかった。


なお、カトマンズは、偽物や中古品を売っている登山用品店はたくさんあり有名だが、同時に、正規品しか売らない一部の登山用品店では、素晴らしい品ぞろえとなっており、高所に必要な殆どすべてのものが手に入ると言っていい。値段も適度に安くなっている。買い忘れた物は、カトマンズで探せばよい。





ユマールシステム
ハーネスとアッセンダー、ディセンダ―である。
ハーネスはアークテリクスで、ダウンスーツを着ても大丈夫なように大きめのサイズになっている。薄くて、ヒップベルトと干渉しにくいところはいい。

ユマールはBalck Diamondで、ミトンが入るくらい穴が大きいので買った。今回、登頂日もミトンが要らなかったのは残念だ。ちなみに、このユマールが、一度、雪が凍って固まってしまい。ロープを噛まなくなってしまったときは、焦った。カムのところを、ぎこぎこやって氷を落とした。

ロープにかけるカラビナは内径が大きめの方がいい。時々、FIxed Ropeを継ぎ足すための結び目があり、内径が大きい場合にはいちいち掛け替えをせずに結び目をスルーできるから。

ロープの回りをテープで巻いてあるが、粘着力がある細い布テープが必要になる。現地でユマールシステムの調整が必要になりそうであれば、手に入れて行った方がいい。

写真のディセンダーはルベルソ4である。キンクが気になる人は8環よりこの手のバケツ系がいいだろう。素直な懸垂下降に使うだけで、誰かをビレイするような使い方はなかった。
今回、この写真に写っているガチャ以外は、カラビナ、プルージック、スリング等、なにも使わなかった。









高所靴

高所靴はスポルティバ・オリンポス。やはり暖かいし、ゲーターが着いている高所靴は楽だ。シェルパも殆どこれだ。
普段、シングルブーツはEU42を履いており、それに余裕をもたせて高所靴はEU43にした。ただ、もう少しフィト感が欲しいなと思うことがある。
なおこの靴はソールの素材が柔らかいので、岩や土の上では大変滑りやすく怖い。
そして残念ながら日本では値段が高く、またサイズが手に入れにくい。
トレッキングシューズでミレーを気に入っているので、高所靴でもミレーに興味があるが、そんなに何足も買うものではないので、しばらくはこれでいく














トレッキングシューズヘルメット

トレッキングシューズは、ミレーのgrepon。軽くてフリクションもよく、気持ちのいい靴だ。夏靴だが、このマナスルで初めてアイゼンをつけて使ってみた。少し冷えるが、十分使える。順応でC3まで登った。


ヘルメットは定番、グリベルのサラマンダー。私は頭が大きいので、帽子をかぶる冬用ではこれしかない。とは言っても、今回、ヘルメットは、一度も使わなかった。











アイゼン
アイゼンはシモンのバンパイア。ダブルの縦爪のままになっている。
前爪も横の爪も凶暴そうにとがっている。このアイゼンは重たいのだが、最後は食い付いてくれるという安心感が欲しくて使っている。
ワスカランでは、こいつが引っかかって、ズボンに大きなかぎ裂きをつくりました。マナスルでは、大丈夫でしたが。
オリンポスにもミレーにもつけることができるので、便利だ。

















バックパック
バックパックはマムートのトリオンプロ。50L+7Lというやつです。全体的によくできている。
ただ、今回の登攀では容量がぎりぎりだった。Himex隊は基本、シェルパに個人荷物の運搬は頼まないので、ダウンスーツとか運ぶ時、もうちょっと容量が欲しいなと思うことがあった。
後、ウェストベルトが取り外しやすい分、勝手に外れることがあり、いらっとすることがある。


















ピッケル
ピッケルは、ペツルのサミット。軽くていいです。少しやすりで研いで、食いこみやすくしてあります。






























上着パンツ

上着三種です。
左は、アークのソフトシェル。雪山ならこれ一枚で、殆どの状況で対応できる。実際には、暑いときが多く、バックパックの中に入っている時の方が多かったですが。
上はRabのダウンジャケット。薄手であり、主にBase camp用だ。寒い夜にはなくてはならないもの。実はアークのソフトシェルの下に重ねて着ることもできる。いざという時に役に立ちます。
オレンジは、すごく軽い薄手のハードシェル。ORです。マナスルは雨があるので、C1より下ではこういう備えを持って行ったりもした。


パンツも、アークのソフトシェルです。パンツのアウターはもう一枚持ってきたのですが、使いませんでした。








ダウンスーツ
ダウンスーツはノースフェース。ノースフェースのダウンスーツは表面の生地がしっかりしていて丈夫だ。その分、服がかさばるし、重くなっている。運搬を考えると、コンプレッションバックは特にいいものが必要になる。
デザインとしては、お尻のチャックはよくできている。他にもいろいろ凝っているようだ。
































下のレイヤー
下半身のレイヤーです。
スマートウールのSサイズのトランクスに、CW-XのGeneratorです。特に寒い時はミッドレイヤーとして、スマートウールの7分丈のタイツを重ねます。
すべてウールでいきたいのですが、Generatorは強力なので欠かせません。
CW-Xの上はアウターとして、ソフトシェルかダウンスーツですが、半ズボンで活動することもありました。

ソックスはPaineの厚手のやつ。ソックスはスマートウールよりかちっとしているpaineの方がすきです。ただ、縫い目がだまになって足にあたることがあるので、履き方に工夫が必要です





















上のレイヤーsmartwool

上半身のレイヤーです。基本、ice breakerのSサイズか、スマートウールのSサイズを肌着にして、その上にMサイズを着ます。左の写真では、ice breakerの長袖を肌着にして、パタゴニアのcapline 3を重ねてます。これは寒さに強い組み合わせです。
右の写真は、スマートウールのMサイズのシャツです。暑くなりそうな日は、半そでのウールのSサイズを下に着て、このシャツを上に着ることもしました。














帽子
帽子は三種類、Northfaceの夏用ハット、マムートの耳が隠れるキャップ、そしてバフのウールだ。
日差しが強い日には、バフをマチコ巻きのようにして、顔と首を隠して凌いだりもした。結局、今回はバフが一番役に立った。
バラクラバも持っていったが、結局使わなかった。
ただ、特に今年は暖かい登頂日だった上に、ダウンスーツがあったので、通常以上に寒さ対策用品が不要になっている。例年どおりなら必要なものもあろう。















手袋
手袋ですが、この写真の4種類の他に、防水になっている薄くペラペラのアウター手袋を一組持っていきました。雨対策です。


写真で一番、左のフリース手袋は汎用性が高く、晴れていれば、そのままこれでC3位までいけます。そして寒くなったら、インナーとして、右から二番目のORの手袋をかぶせました。このフリース手袋は、大活躍でした。なお一応、予備を持ってましたが、一組でことが足りました。

登頂日は、勝負手袋として、ORTOVOXでいきました。やはり無脱脂ウールは暖かいし、雪に濡れると膜となって水分をはじいてくれます。ほんとはミトンと組み合わせる予定でしたが、まったく必要ありませんでした。









酸素マスク
酸素マスクは隊の備品です。サミットオキシジェン社のマスクとレギュレーターです。赤いチューブはマスクのサイズがMということを示しています。青がSです。こういう単純な整理の工夫が、厳しい環境下で使われる備品には必要不可欠です。























サングラス
サングラスは ジュルボです。カテゴリー4という、特に紫外線をカットする種類のレンズが入っています。高所は紫外線が大変きついので、日本での感覚以上にしっかりしたサングラスが必要になります。
このサングラスは、東京のオードビーで手に入れました。
サングラスは、壊れたり失くしたりした時に備えて、予備が必要です。また、結構しまったり出したりが頻繁なので、使いやすいメガネケースと眼鏡ふきも必要です。














寝袋
寝袋はマーモットのプラズマの-18℃(華氏0度)対応のやつです。Himex隊なのでBase campでしか使いませんでしたが、上のキャンプに持っていくとしても、このサイズにしたでしょう。どうしても寒ければ、ダウンスーツで対応すべきです。























サーマレスト
サーマレストのフルレングスのやつ。この下に、隊のマットを敷いて、寝袋とダウンスーツという組み合わせで過ごしたが、C4でも全く問題がなかった。このほかにニーモのエアマットも持ってきていたが、不要だったので、ダッフルバックの中で眠っていた。。




























ラジヲ
これは隊の備品のRadioです。これをバックパックの雨蓋の裏に収納して、マイクを伸ばして肩ひもにつけていました。電源スイッチ、ボリューム、話すときのスイッチの3つしかさわりませんでした。



























ビーコン
これはマムートのスノービーコンです。ビーコンを持っていないメンバーには、隊の備品として、PIEPSが支給されます。発信機能は、あまり差がないのではと思いますが、マムートの探索機能は優秀です。


ただ、雪崩にあって、クレバスに埋められたら、どうしようもないんですね。特に上の方のキャンプでは、現場に着くまでに何時間もかかるので、クリティカルな15分なんてもの、すぐに過ぎちゃいます。
倉岡さんは、これは遺体探索用だと言ってました。













食料隊の食料


食料としては、尾西のレトルトのご飯に薬研のお茶漬けを基本にした。お茶漬けは食欲がなくても食べやすいのだ。他にもカップヌードルのリフィルや、にゅうめんに乾燥もちを入れたりといった、量の調整しやすいものを持っていった。

生のガーリックは少しかじってスパイス兼元気のもとにした。
ビタミン剤は持ち運びやすいように小分けにし、飲み物も気分で選べるように種類を持っていった。

水に関してはもともとはポカリスウェット派だったが、持ち運びの手間から最近はShotz extraが多い。
特筆すべきは、Vespa Hyper。これは高いが、いざという時に役に立つ。足がつりそうなほど疲れた時とか。


緑の袋は隊から支給されるUKのWayfeyrer Meals。ひどくはないがうまくもない。高所では特に、食欲をそそらないかな。10種類くらい倉庫に積んであった。












雑品 水筒等水筒

雑品いろいろですが、
左上はナルゲンのフォールディングキャンティーン。2L入るのでピーボトルにぴったりです。
その隣の青い500mlのナルゲンは、ナッツが入っています。おやついれですね。もうひとつ同サイズのナルゲンを持っており、そちらは、水筒に使っています。リュックにつりさげたり、ダウンスーツの中に入れたり、機動力があるので便利です。またshotz Extraのタブレットも500mlの水で溶かすので、そちらにも便利です

さらに右の赤いMSRの水筒はカトマンズで買いました。4Lの容量があり、三段階の大きさで口を開けられるので、まとめて水をつくったり、ためておいたり、湯たんぽにしたりと、便利に活躍しました。水漏れもなかったので、これは当たりです。

Himex のハイキャンプでは、プラスチックのボールがひとつ食器として備えられていますが、それだけでは不便です。ご飯をボールによそると、味噌汁も飲めません。そんなこんなで、このスノーピークのチタンマグを持っていき、役に立ちました。大きめの450mlを持っていきましたが正解です。

真ん中にあるのはモンベルのトイレットペーパー入れです。これの売りは首につりさげられること。これも案外便利でした。
最後に、一番下にある化学ぞうきん。セルロースワイプです。テントの内側をさっと拭いて露をとり、ギュッと片手で絞るとしっかり乾く。雪山必須と言っていいほど、大変便利です。ただ、言葉でこの便利さを伝えるのは難しいかも。





雑品いろいろ

またもや雑品ですが、
左上はテントシューズ。私には少し大きくて脱げてしまうのです。オリンポスのインナーシューズをはいてからアウターとして履くとぴったりでした。

手前のスワンのゴーグルはファンがついているやつです。これ、運搬中に勝手にスイッチが入って電池が無くなるんですよね。スライド式の電源スイッチをシールで止めて動かないようにしてから、運んでます。ただ、マナスルでは出番がありませんでした。

ストックは一本派です。BDの折りたたみは便利です。折りたたんだ後腰に下げて、懸垂下降をしたりします。

ヘッドライトはBDの単三のやつを持ってきました。夜行がどのくらいあるのかわからないので、余裕をみたのですが、単4でも十分でした。Himexなら充電もこまめにできますし。

ナイフ系のツールは、レザーマンをやめてビクトリアノックスを持っていきました。やすりツールでアイゼンとピッケルの刃を研ごうと思ったのが理由です。後、ハサミで髪を整えたりしました。

左手側にあるのは、MSRのぶきです。先割れスプーンのようなものです。そしてオレンジの袋には、ミニ包帯、替えの靴ひも、ホイッスル、ブリーズライト、ニューハレVテープ、コロスキンが入ってます。
コロスキンは液体絆創膏で、山では利用範囲が広いと思います。











ブリーフケース

これはいつも雨蓋にいれているバックの中身です。
お守り、カメラの替え電池、パルスオキシメーター(SPO2の計測)、ライター、ブリーズライト、鍵とキーホルダー(同一鍵)、正露丸、リップクリーム、名刺(山用)、日焼け止めクリーム、歯ブラシ、ティッシュ、これに、ボールペンと薄いメモ帳が入っています。

パルスオキシメーターは通販で買いました。これも日本と海外で値段の差が激しい製品ですね。
同一鍵はダッフルバック用です。

















洗面道具椅子

洗面道具です。上から鏡、ひげの長さそろえシェーバー、剃刀、石鹸です。
下に敷いてあるタオルはメッセージ入りです。
なぜか、「がんばね」となっています。


剃刀は、電気のほうがお手軽でした。ただ、数日に一回という頻度で髭をそったので、それほど苦にはならなかったですが。
石鹸は、赤ちゃんにも使える低刺激で、頭も洗えるということで、選びました。
鏡は髭剃りの他に、髪の毛切りにも役に立ちました。
また、この折りたたみいすも、髭剃りに欠かせないツールです。


いすの隣に写っているクロックスは、寒くないように、わざわざ穴が開いていないモデルを選んだのですが、マナスルでは蒸れることの方が多かったです








ソーラーパネル
ソーラーパネルはNomad 13を二枚持っていきました。直列にするので、26Wです。天気が良い日はまあまの充電具合でしたが、Himex隊の充電システムがあるので、大して電気を使わない私の場合は不要でした。











電気製品
電気製品はiphone、kindle、SONYのAction camとデジカメ、ヘッドランプです。ipadは結局使いませんでした。殆どの充電はPanasonic/Sanyo の充電池に一度ためてから、USBでチャージをしました。
iphoneは音楽マシンに特化してました。Kindleはpaperwhiteです。、電池の持ちが良く、夜でもバックライトで読めて、本よりもかさばらないという、良いことづくめでお勧めです。











ハンガー会話帳

雑品が続きますが、ハンガー2つ。折りたたみ傘、爪きり。一ヶ月もいるので、爪切りは必須である。
旅の指差し会話帳ネパールは、よくできた本だ。ありがとうとか、美味しいとか、一ヶ月もいるのだから、多少は言葉を覚えるべきだ。ただ、シェルパは本来、ネパール語ではなくシェルパ語を話すということは忘れずに。

お金は分散しておけるように、複数の財布が必要になる。また、小さな折りたたみデイパックは、カトマンズやサマ村では役に立った








重量計救急箱

上から、マスク。マナスルでは湿気が多いので不要でした。
重量計。飛行機の荷物やバレル等、重さを量る機会は結構あります。
後は、テーピング、スパイダルコのナイフ、耳かきです。
右の赤い袋は救急箱です。抗生物質やダイアモックス等いろいろ入っているのですが、細かいので、今回は割愛です。





デジカメ
デジカメは、オリンパスのTG-2 。
タフなので、壊れません。洗えます。
レンズは明るいです。スイッチを押すとすぐ立ち上がります。
スーパーマクロはすごいです(全然使っていませんが)
このサイトの写真は殆どがこれで撮っています。


ちょっと前のタフに比べて、ソフトもハードも大分よくなりました。
レンズの回りの金具は直ぐおちてしまいますが、気にしない。
細かいところはあまり気にせず、タフに使うあなたに、おすすめ。













時計
さて、最後は時計です



プロトレックの最新モデルなんですが、岩にこすれて、既に貫禄がついちゃってます。ぼろぼろなんです。
でも、プロトレックはこれで四台目ですが、今回が最高です。
細かい修正がなされて、かゆいところに手が届いちゃってます。
太陽電池で、カトマンズの時間に対応していて、見やすいシンプルなデジタル表示で、夜中にライトが押しやすくて、高度の計算が早い。
しかも、timeモードに戻る時に微妙に音が変わったりとか、気圧の変化をtime modeでも微妙に表示させたりとか。渋すぎです。
残念なのは、ソフトウレタンバンドをとめる金具が、薄い化繊系の生地をはさみやすいこと。寝袋やダウンの近くでは、気を使いました。
でも使っていて気持ちがいい。今度は腕時計を懐中時計にして、ハーネスにぶら下げるためのキットを出してください。