Diary of 5/31-
Jungle March

view from Nelion summitview from Nelion summit

2/22/2017 @Austrian Hut (4,790m)


Approach to start point
05:30 起床。今日は本番だ。NelionのSE faceを登る。
08:00 出発。早起きの割に、出発はゆっくりだった。

 近年、ルイス氷河は急速に縮小している。その氷河の中ほどを横切って、取りつきまで移動する。



Nelion SE faceNelion SE face
08:30 取り付きに到着。クライミング開始。全部で15ピッチのルートを登る。丸一日かけて登ればいいので、三人でゆっくりと楽しんだ。

Pitch 9Pitch 9
 Pitch9でBailies Bivvyと呼ばれる壊れかけた小屋の脇を登る。そこから少し下って、Pitch10で登り返す。ここはルートが分かりにくく見極めに時間がかかった。

 Pitch12は、クラックのあるフェースクライミング。山靴では実に登りにくいところだ。Pitch14は急所と呼ばれているが、Pitch12の方が大変だったと思う。

Howell HutHowell Hut
17:00 Nelion山頂着。頂上のHowell Hutは3人で寝るにはちょうどいい大きさの、とても小さな小屋だ。金属で出来たテントといった方がしっくりくる。ここはアフリカで一番高い小屋らしい。


 小屋に着くと、まずはお湯を作って、ホットウィスキーを飲み始めた。そこからカレーをスープにして、チキンの燻製、鮭ハラス、稚鮎のオイル漬を食べる。
 皆、持ってきた食料はつまみばかりだった。昨日の夜は何の準備をしていたんだろう。

20:30 就寝。結構暖かく、一度も起きずに寝られた。


2/23/2017 @ Howell Hut (5,188m)


Approach to start point
07:00 起床。結構飲んだ割には、すっきり目覚めた。
 今日はBatianの頂上へ向かう。そしてNelionの頂上へ戻って来てから、Nelionの SE faceを下る。
 味噌汁とチョコレートで、軽い朝食。

Traverse near Nelion summit
09:00 出発。
 Nelion頂上の北側をトラバースして、懸垂下降のポイントまで移動する。少し足場が悪い。足元の遥か下に、Shipton小屋が見える。


View from Gate of MistView from Gate of Mist
 NelionとBatianの間の谷はGate of Mistと呼ばれている。この谷へ50mロープをシングルで使って、懸垂下降をする。このロープは帰りにFixedロープとして使うので、末端を固定したまま往路では回収しない。
 垂直の岩壁を懸垂下降すると、すぐにGate of Mistだ。非常に細いRidgeの両側が切れ落ちている。天気がいい。風も穏やかだ。

 そこから、大きな柱のような岩の北側を巻いてまた登り始める。最初のピッチは雪のついた岩の斜面、穏やかな斜度。二番目は軽快な岩場だ。

 三番目のピッチは、いったん登った後で、トラバースをしながらフレークの壁を下り、そこからフェイスを登るというトリッキーなピッチだった。ここは、なかなか楽しい。

 四番目のピッチは簡単で短い登りで、頂上に着く。
 この日の天気は既に下り坂だ。雲で、Nelionが見えない。

Batian summit
10:30 頂上では先に着いたジェームスがすまし顔で座っていた。
 彼は何年もケニア山でガイドをやっていたが、初めてBatianの頂上に来たのだ。いやいや、嬉しくないはずがない。ちょっとつついてやると、顔が緩んだ。

Nelion from BatianNelion from Batian
 下りは三ピッチの懸垂下降でGate of Mistに着く。すでに辺りは白くなっていた。
 霧がDiamond Couloirから上ってきて、Gateを越えるとShipton小屋の方へ下っていく。まさに霧の門だ。


 ここからのNelionの頂上までは、先ほど残してきたFixed Ropeにユマールをかけて登る。北斜面が登り易いので、北斜面にロープを移動させて、ルートを設定する。

 これは、昨晩、小屋で一緒になった現地のガイドのJohnに聞いたやり方だ。彼は、Fixed Ropeに加えて、スタッカートでロープを使うそうだ。少し冗長だが、同じやり方で登った。
 雪があって滑りやすい所もあるが、全体としての難易度は低い。すぐに懸垂下降をしたポイントまで戻ってきた。そこから、トラバースをして、Nelionの頂上に着く。


Batian summit
12:00 Nelionの頂上で少し休む。しかし、いよいよ天気が悪くなってきた。風が冷たく、雪がちらつく。早々に、懸垂下降で下ることにした。
 全部で13ピッチの懸垂下降は、実に長いが、しっかりしたビレイ点があるので、サクサクと降りていけそうだ。


 6ピッチほど下りると、そこから少しトラバースして、突き出た岩からまた懸垂下降になる。その突端で、胸の辺りがピリピリした。遠くで雷が聞こえる。
 おお、これは…ものすごく嫌な感じだ。急いで下りる。
 その後は、ピリピリすることはなかった。
 
 
 下山の途中で雪が激しくなってきた。
 そして、下りるにつれ、今度は気温が上がってきて、雪が雨になった。
 岩肌を伝う水が小さな滝となって流れている。
 ソフトシェルの袖は、既にびしょびしょだ。この山ではハードシェルの方がよかったな。
 
 懸垂下降が続き、無心でひたすらロープを滑らせる。
 寒く、袖は冷たい。でも、気持ちは高揚していた。
 下山中なので、クライミング・ハイでは無いから、ラッペリング・ハイだな。
 
 このクライミングは実に充実している。長いアルパインルート。岩をつかむ感覚。
 ブーツだったので、難易度が上がったのもよかったと思う。
 Viva! Mt Kenya!


Climbing Video of Nelion - Batian Traverse Route
(detail version)

 
party @ austrian hut16:00 取り付きに戻る。行きと同じルートで小屋へ。

 この日の夜もワインを一本空ける。そして現地人はウィスキーだ。我々の部屋に同じチームのポーター達も、右隣の部屋のガイドや左隣の部屋のガイドも、いろいろ来てはたむろしていく。ここはパーティ部屋となってしまったようだ。
 シーバスの在庫はまだまだあるが、あればあるだけ飲むので、少しづつ放出している。でも明日には、また酒の買い出し部隊を出さねば。


2/24/2017 @Austrian Hut (4,790m)


Austrian Hut and Nelion SE faceAustrian Hut and Nelion SE face
07:00 起床。よく寝た。SPO2は86/77。かなりいい。順応しまくっている。
今更だが。胃の調子も戻ったようだ。

 昨日の雪で山が薄化粧をして、朝日にきらきら輝く。綺麗だ。
 午前中は多少、日干しをしてから、パッキング。今日は、下のMakinders小屋まで下りる。

Point JohnPoint John
11:00 下山開始。Nelionが遠ざかり、大きな三角の岸壁が迫ってくる。Point Johnは迫力の岸壁だった。明後日、ここを登る予定にしている。


 そこそこの角度のざれた斜面を、ぶらぶら下りていく。急ぐ行程ではない。
 Teleki谷に入る。セネシアに覆われた谷間だ。景色が広々としている。スケールが大きくなった涸沢のような広がりだ。
 この日は、一日中天気が崩れなかった。

Makinders HutMakinders Hut
 Mackinders小屋は大きいが、泊まっていた3泊の間、ずっと我々しかいなかった。
Bed room
大きな部屋が4つほどあり、私とKガイドが泊まった部屋には24もベッドがあった。使い放題だが、そんなにはいらない。しかし、人がいないと夜中の騒音もいびきもないので、快適に過ごせた

 
2/25/2017 @Mackinders Hut (4,300m)


Mt Kenya and HyraxMt Kenya and Hyrax この日は、休養日。何も予定がない。いい天気だ。
 
 ずいぶん日が昇ってから、光が谷間にさしこむ。一斉に朝の霜がとけた。小屋の屋根からもしずくがあつまって、軒下に派手な音をたてて落ちる。
 小屋の前の岩が暖まってくると、Hyraxが出てきて、日向ぼっこを始めた。

 お湯を沸かして、外にある囲いの中でお湯浴びをする。ナイロビのホテル以来だ。風がかなり冷たい。気持ち、清潔になった気がする。

 酒の買い出し部隊のアンソニーが戻ってきた。ビールを24本、ウィスキーを1本、そしてKenyan Caneという謎酒を2本。ワインは、まだまだ在庫があるので、買い足さなかった。
Kenyan caneKenyan cane
 Kenyan Caneは、サトウキビが原料だがRumとは表示されず、Spiritsと書いてある。また現地ではケニアのウォッカとも呼ばれていた。中性スピリッツを混ぜてあるようなので、こういう呼び方になったのかもしれない。
 味は、癖がほとんどないホワイトラムで、のど越しはスムースだ。750ml瓶で600円くらい。
 これは、調子に乗って飲むと、翌日やばいやつです。

 夕食はウガリを食べた。トウモロコシの粉の団子だ。手で食べるのがうまいんだ、と言われて、手で食べた。日本の白米のように、ウガリも味わい深い。

Stars from MakindersStars from Makinders
 Kenyan Caneは、今日は一本だけと言ったのに、既に二本目が空いていた。ウイスキーにも手をつける。現地人の酒の消費速度が毎晩加速していく。また、酒の買い出しを手配せねば。


2/26/2017 @Mackinders Hut (4,300m)


Bottom of JohnBottom of John
05:30 起床。今日は早起きでJohnにクライミング。でも、皆遅い。昨晩、飲みすぎなのだ。
07:30 出発。ポーターが一人同行したが、昨日の酒でふらふらだ。

09:30 Johnの取りつきについた。Kガイドと二人でClimb ON!今回は、クライミングシューズを履いた。サクサク行こう!

Bed room
 今日も早い時間はいい天気だ。クライミングシューズのせいもあり、きびきび登れる。岩も乾いていて、状態もよい。どこまででも登れる感じだ。

 6ピッチの最後の2ピッチは、右側に寄ったが、左側の頂上へのストレートラインが正解だったようだ。途中から少し悪いところが続いて、ヒヤッとするトラバースもあった。この山だと、そういうのも楽しい。

 Johnは見た目が雄大で、鋭いシェイプに厳しさも感じるが、登ってみると手ごろで楽しい山だった。

Ropes
12:00 頂上に着く。頂上には、細長い岩が突き出ていたので、そこまで登った。
 またガスが出てきたので、Batianが見えなくなった。
 岩登りは十分堪能した。頂上ではグズグズせずに下ろう。

Point John
 懸垂下降で5ピッチ。途中のロープ回収で引っ掛かり、二回ほど登り返しが必要になった。ここはロープが引っ掛かりやすいフェイスだ。

15:00 小屋に戻り、飲み始める。今日はウィスキー中心だ。2時間でつぶれて寝ると、また19時のディナーで起きる。そこから、現地人と宴会。22時まで。


2/27/2017 @Mackinders Hut (4,300m)


Teleki valley
09:00 出発。広々とした谷を下りる。セネシアの点在する草原では、あちこちでHyraxが鳴いている。鳥のような声。

 途中から草原地帯、粘土地帯を通る。今は土が乾いているのでまだいいが、雨季には、泥だらけの道になるだろう。皆このNarumoroからのルートをよく使っているようだが、あまりいい道とは言えない。

PortersPorters
 途中で、現地ガイドのジェームスの叔父さんとすれ違った。彼は6人のトレッキングのパーティーをガイドとして連れていた。
 JamesはBatianに登ったことを叔父さんに話す。さりげなく当たり前のような話し方だったが、顔は超ドヤ顔だ。わかりやすい。
 おじさんもびっくりして、本当か?本当に登ったのかと何度も聞いていた。

 11時過ぎに密林地帯に入る。ここからの道ははっきりしているので、迷うことはない。やがて、自動車も入れる道幅になった。

12:30 Met stationの小屋に着く。ここも快適な宿だ。
 ここまでは自動車が入れるので、町から酒の買い出しを届けてもらった。一晩なので、すべて飲まねば!

2/28/2017 @Met Station Hut (3,040m)


Monkey
 朝には、小屋の周りで猿が餌をあさっていた。
 今日は自動車で山を下りるだけだ。そしてJamesの実家に泊まる予定だ。


 町にでると、マサイ族の山羊飼いから、三歳の山羊を一頭買いした。
 スーパーマーケットでビールを100本!
 ウイスキーもたんまり。ちょっと奮発してジョニ黒だ。現地人もヒートアップ!(笑)
 
 今日は山羊パーティーなのだ。

Goat party
 夕方から、解体を始めて、ホルモンのBBQと正肉の煮込みを食べる。うまい、しかしこれは、食べきれない。そろそろ、私はフォアグラになりつつあるかも。
Goat soup
 次の日の朝には山羊の頭のスープを食べた。実に、これが食べたかったのだ。とどめの一杯って感じで、お腹にずしっとくる。しかし、実にみなぎる。

 
100 beers
 そう、これは山羊と酒の日々の記録(笑)

 オカ・ジョヒィ、ゴニュェ!(ビールよ来い!飲んでやる!)

 Viva! Kikuyu!