ElbrusElbrus

 エルブルースは、ロシアの南部、グルジアとの国境近くに位置し、東峰と西峰の二つのピークを持つ双耳峰です。山頂は5,642mの西峰で、ヨーロッパの最高峰とされ、ロシア国内だけでなく、ヨーロッパ全土から多くの登山者が訪れます。

 ということで、日本の富士登山のように、老若男女、登山の素人もベテランも、訪れる山となっています。同時に、その厳しい気候と比較的フラットな地形で、吹雪くと道迷いを起こしやすく、天候遭難が絶えない山でもあります。

 この山に、2014年9/6-9/12 の7日間の日程で登りました。

 今回、 現地のガイドとチームを組みましたが、私以外は、4人のロシア人とフランス人、オランダ人で7人のメンバーでした。
 国際隊にしては珍しく、ロシア語のコミュニケーションがメインとなり、英語しか話せない私は苦労をしました。また、私とオランダ人以外は皆、高所登山の経験がなく、チームとして大きなチャレンジでした。

 ガイドやオペレーションには、いろいろ不満が残る隊でしたが、結果としては登頂ができたし、メンバー達とはビールを浴びるように飲めたし、大変楽しく過ごせました。



9/6/2014 @Terskol


cocusasMineralnye Vodyの空港から車で3時間半、まず、エルブルースの麓のTerskol村まで移動する。
道はコーカサス地方の渓谷を川に沿って伸びている。浸食の跡が良く分かる風景だ。




hotelHotelarmyホテルは、一見、新しそうだが、2階にも3階にも空中に向けてドアがついてたり、さびついた鉄筋が壁から生えてたりと、いろいろと突っ込みどころ満載の建物だった。
部屋は、普通のツインルームで、オランダ人とシェアした。



ホテルの窓から見える隣の建物は、山岳オペレーションを専門にする軍の部隊で、時々、10人くらいのチームが訓練に出かけていった。
ロシアの建物は、一見新しいが、実はぼろぼろといったものが多かった。


@ bar 夕飯後に散歩。ホテルの隣の食堂がいい感じのバーだった。
結束を高めあうメンバー達!

9/7/2014 @Terskol




terskol hikeview from hike Terskol peakへ順応のハイクに行った。標高3,100mまで、標高差800mを3時間で登る。天気は上々で、コーカサスの厳しい山容を眺めながらのハイクだった。





fallfall2 頂上につくと、ガイドが、じゃ後はよろしく、と言って一人で下ってしまった。
「この素人チームを残してひとり下りるなんて、ありえない!」 オランダ人と顔を見合わせた。


残った我々は集団でゆっくり下山をしたが、途中の滝に寄り道をして水遊びをした。びしょびしょになりながら、チームの結束が高まった。




bar午後3時くらいにホテルに戻り、またビールだ。昼間なので、無理やり食堂からテーブルを外に持ち出し、野外で飲んだ。またまた、チームの結束が高まった。




bar @ night夕食後、明日から山に移動するので、飲み収めということで、ビールを飲みに出かけた。
チームの結束が高まり過ぎて、飲みが止まらず、ビールがテーブルに乗り切れなくなった。写真のひげ男はロシア人のミーシャ。


この日で飲み収めのはずだったが、山にはロシアのコニャックを持っていったので、結局、山小屋ではビールからコニャックへ飲むものが変わっただけだった。



9/8/2014 @Terskol - mountain refuge




ropewayski liftロープウェイを乗り継ぎ、更にスキーリフトに乗って、山小屋に向かう。リフトに乗ってご機嫌なのが、オランダ人のウィリアム。



diningDining @ base campこの空中楼閣のようなプレハブが、山小屋のダイニングだ。
独特にゆがんだ直方体が、絶妙なバランスで崩れかけたコンクリートの柱の上に乗っている。
回りに散らばった錆びた鉄パイプや網やシンクも、風景のバラック感を強調していて素晴らしい。日本流に言うなら、いとをかしだ。


inside of diningダイニングの内部は、細長く、少し傾いている。
地元のおばちゃんが、コックとして滞在して、料理はおいしい。
本を読んだり、トランプをしたり、飲んだりといったくつろぎスペースだった。


lodgeslodgesionside of lodges居住プレハブの内部は、2段ベッドで8人まで泊まれるようになっている。私達の小屋は6人で使った。
断熱性が高く、快適に寝れた。

9/9/2014 @mountain refuge





snow hike高度順応のハイキングに出かけた。雪の中を、4時間のハイクだ。寒かったが、無事、終えた。

ハイクが終わり、小屋に帰ると直ぐに、ガイドが町に下りてしまった。明日が休息日だから、家でゆっくりするつもりだろうと聞いた。
 これってありか?

 天気予報では、明日の天気が快晴で、明後日以降はよくない。ウィリアムと私は、明日に登頂日を変更したらどうか、とガイドと話すつもりだったのだが... それも、既に遅かった。
ウィリアムが、空に向かって、ファッ、ファッと叫んでいた。

9/10/2014 @mountain refuge





Elbruselbrus and me今日は予想通りの好天気だった。登頂日でなくて、実に残念だ。
きれいなエルブルースが見えるうちに記念写真をとろうと、皆が順番に同じ岩に登って、ポーズをつけて写真をとった。誰の写真もどや顔で、昭和っぽい雰囲気のポーズをしている。
いわゆる、恥ずかしい写真のカテゴリーだ。


fixing小屋の発電機が壊れた。始動しなくなったのだ。修理の人を呼ぶと時間がかかる。明かりとして、ヘッドライトもろうそくもあり、電灯は要らないのだが、皆、スマホの充電ができないことに困っているようだ。
ついにミーシャが発電機を分解して直し始めた。そして1時間には直った。都会でのサバイバル能力、恐るべし。

9/11/2014 @mountain refuge - summit - mountain refuge






登頂日はやはり雪だった。風はそれほど強くないが、視界はあまりよくない。
ビデオは東峰と西峰の間のサドルと呼ばれる場所での休憩風景。

summit climbingサドルから西峰の急坂を登り始めて、一時間ほどたつと、7人のメンバーの内、二人がばてて、ふらつきだした。

すると、ガイドが、疲れているメンバーがいるから、ここで止めて戻ろうと言い出した。
 なに、言っちゃってんの!


「No way! 今日は何のためにサブガイドが参加しているんだよ。天気が落ち着いているし、後一時間位で頂上なんだから、他の対応があるだろう。」

私が怒鳴り、他のメンバーも怒ってまくしたてている。

で、ガイドはすぐに折れて、登山は継続することになった。


guide with mask難関のFixed Ropeでは、複数の隊のガイドが一緒になって、メンバーがサポートしあっていた。
このドクロの仮面は別の隊のガイドだが、彼も我々のチームのサポートをしてくれた。

 話は変わるが、この仮面は、視界が曇らない防寒方法として、優秀なのではと思う。今度、実験してみたい。



last slope頂上の直ぐ手前、最後の坂のあたりでは、風が大変強くなっていた。



@ summitsummit@ summit w/ michaelw/ Michaelサミットです。9時過ぎに登頂。右にいるのはミーシャ。

 ミーシャは、BCでは高山病で苦しんでいたので、高所呼吸法をレクチャーしました。すっかり元気になって無事、登頂!めちゃめちゃ、感謝されました。


climb downありえないという顔下りは、皆、ばてばてで、少し歩いては座り込む人が続出した。その度に、声をかけたり、叱咤したり、飲み物を与えたり、チョコを与えたり、大変忙しい。
保育園の先生になった気分だ。
そんな中でも、ガイドは、座り込んだ人が立ち上がるのを待っているだけだった。もう少し働いてもいいだろう?

標高が4,500m 位まで降りたところで、今度は道に迷った。目印の旗を見失ったのだ。 左に下りても、右に下りても見つからない。ガイドは、GPSを持っているのだ。なぜ、さまよっている?

途中で、ミーシャが、右の方から音がすると発見して、正しいルートに戻ることができた。
この日は、いろいろ、ありえない事がおきたが、16時には、無事、全員が小屋に戻った。



9/12/2014 @mountain refuge - Terskol

go
fishing魚釣り午前中に村に下山し、午後から、メンバー全員で登頂祝いに繰り出した。
まず、池で魚をつり、それを調理してもらう。30分ほどかかったが、魚をゲットできた。


party魚を焼き、羊を焼き、ビールを並べて、めでたしめでたしだ。
実に、最後まで飲みまくったチームであった。